よくある質問−回答集03−
皆様から寄せられた疑問・質問にお答えするページです。
鍼灸全般についての質問
Q1、前回の治療後の体調を必ず聞かれます。そんなに大事な事ですか?
とても大事なことです。治療後の体調というのは、鍼灸の刺激がどのように身体に影響を与えたのかを知るための重要なバロメーターです。
前回の治療後の体調を聞かずに、適当に治療を始めてしまう治療院も少なくないようですから、その鍼灸院さんはとても意識が高いところだと思います。安心して通院されて良いと思いますよ。
Q2、鍼の効果は、どのくらい持続するものなんでしょうか?
治療法にもよりますが、局所治療の場合は1日〜3日。長くて1週間程度でしょうか。
局所治療は、痛みを起こしている筋肉や神経周辺の組織に対して循環改善をうながしたり炎症を鎮めたりという治療になりがちですので、日常のお仕事でまた循環不全になって行けば同じ症状が出やすいと思います。
ただ、それでもある程度続けることで、回復しやすいレベルまで組織の循環が改善されて強い症状を起こしにくくなるようになりますが。
ですが、そもそも”効果の持続時間”という事自体が論じるべき問題ではないように思います。効果が切れるような治療は結局対処療法でしかなく、本来の意味での治療とは言えないからです。
むしろ、”身体に対してどの程度影響を与えることができているのか?”という事の方が大事ではないかと思います。
Q3、鍼以外にも自分で何か努力すべきでしょうか?それとも全て先生に預けて良いのでしょうか?
是非、普段の生活習慣を見直す努力をされてみて下さい。とてもカンタンでお金も掛からないようですが、”習慣をかえる”ように努力するのですから、実はとても大変なんです。
何らかの病気が起こってきた原因は、今現在のあなたの生活習慣に原因があることがほとんどです。
ですから、病気を起こした原因になっている生活習慣を正さなければいくら治療を受けても良くなりません。
難しい努力ですが、是非頑張ってチャレンジしてみて下さい。
Q4、今度、鍼灸へ行こうと思うのですが、体調が悪いときはやらないほうがいいですか?
高熱が出ているとか立ち上がることもままならないとかいう極端な体調不良ではなければ、全く問題ないと思います。
ただ、鍼灸治療を受けることで、身体が治癒反応を起こして、一時的に発熱があったり、怠くなったり、下痢を起こしたりという体調不良に見回れることがありますので、治療後にゆっくり休める時間的余裕をとっておかれるのが良いと思います。
Q5、鍼灸治療で針を刺す数は値段に比例するものなんでしょうか?
治療費(値段)と鍼を刺す数は全く関係有りません。
鍼灸の治療費は、ほとんどが技術料ですので、1本刺すだけでも5,000円という人もいれば、保険を使って500円の負担金しか払わなくて良いのに100本近く刺す人もいます。
例えば美容院さんを考えていただけると分かりやすいと思いますが、美容院さんではハサミをいれる数と料金は比例していませんよね。むしろそれに近い事ではないかと思います。
Q6、鍼を刺す箇所や治療の仕方は治療院によって差があるのでしょうか?
差があるというよりも、治療院ごとに違うと考えた方が良いと思います。
もちろん、大まかな流派の様なものや傾向といったものはありますが、同じ先生について学んだとしても、学んだ人によってどうしても個性が出てきます。
鍼灸治療は、検査機器などを使って投薬を行う現代医療とは違い、治療家の感覚を”ものさし”にして診断も治療も行っていますので、治療家の手が変わると治療内容も変化するからです。
また、同じ治療院で同じ病気の治療を受けても、患者さんが変わると治療法が変わる事もあります。これは病気に合わせて治療をしているのではなく、患者さんの身体に合わせて治療をしているからです。
Q7、鍼を受けるとだるくて辛くなります。私に体力がないせいでしょうか?
治療の内容が分からないので一概に言えませんが、治療の刺激量が強すぎるのだろうと思います。
もちろん、治療を受ける側に体力がないと、治療を上手く消化できずにだるくて辛いという状態になりやすいですが、それなら鍼灸師が刺激量を調整して辛くない程度の治療をすることで体力を付けて行くのが筋だと思います。
治療後にだるくなるのは効いている証拠とも言えますが、辛さを感じるようだと少し強すぎるんだと思います。一度治療をして頂いている先生に、そのことを相談されては如何でしょうか。それでも毎回辛いようなら、残念ですが違う鍼灸院を探された方が良いと思います。
Q8、鍼でやせるって本当ですか?
鍼灸の効果だけでダイエットをすることは出来ません。
ちまたでは、耳に鍼をすることでダイエットをする「耳針ダイエット」や「耳ツボダイエット」などの広告が踊っていますが、耳のツボを刺激するだけではなく、水を飲ませたり、サプリメントを飲ませたりということを複合的に行う物が多いそうです。
ですが、耳のツボに鍼をすることで食欲が抑えられるという事については、全日本鍼灸学会などでも研究が発表されており、実際に食欲の抑制や体重減少が見られ、ある程度の効果がある事は認められています。
ですから、ダイエットの基本として、現在の太ってしまう要因をもっている生活習慣を正し、基礎代謝を上げるための身体作りや、より健康的な食生活などを身につけていく努力をする中で、補助的に食欲の抑制・ストレスの軽減などの目的で鍼治療を受けるというのは選択肢として有効な手法だと思います。
なお、私はダイエットの鍼灸を専門にはしていませんが、富山市内に「健康は適正体重から」というお考えで、長年耳鍼でのダイエットを行うことを治療の基幹にすえて治療をされている先生がいらっしゃいます。
以下にそちらの鍼灸院のURLを記載しておきますので、よろしければご一読下さい。
創健堂 http://www.soukendo.co.jp/
Q9、鍼に通っていますが、今一つ効いてるのか分かりません。即効性があるとは思っていませんが、効いてるかどうかは、どうしたら判断できるんでしょうか?
一番簡単なのは、一番のお悩みだった症状について、通院前と現在の状態を比較してみることです。
ですが、例えば腰の痛みなどは比較しやすいので分かりやすいですが、例えば不妊症などの体質改善が目的の治療だとこれが難しい場合もあります。
その場合は、他の部分で治療前と治療後の変化を比較してみましょう。
例えば、肩こりや腰痛など、身体の動作に直接関わるような症状があればそれの変化を比較してみると良いです。以前より腰痛が軽くなっているとか、肩がよく回るとか、割と変化をつかみやすいところです。
また、寝起きの印象や、入眠しやすさ、手足の冷えの状態や便の状態なども治療前の状態を思い出して比較してみると良いです。
さすがに、全く変化していないという事は少ないと思いますよ。
ただ、少し問題があるとすると、それらの変化に気が付けないという事は、今通っている鍼灸院さんでは問診でそれらの変化について追いかけていないということですから、ちゃんと変化を観察しながら治療を進めているのかどうか疑問に感じます。
3ヶ月程度通って、全く変化がないようでしたら、通院先を変えてみても良いかも知れません。
Q10、通院していた鍼灸院で「普段の生活が悪い」みたいな言い方をされました。サプリメントや漢方薬などについてのアドバイスをしてくれると思っていたのでガッカリでした。
病気になった原因は、ほとんどが”普段の生活”の習慣の中に隠れていますので、そのことを言われたのではないかと思います。
そういった生活習慣が治らなければ、サプリメントや漢方薬を使っても結局また同じ事の繰り返しになります。
昨今、サプリメントや漢方薬など、身体に良さそうな物を追加することが良いアドバイスと思われがちですが、大抵そういう治療院さんではサプリメントの販売なども行っています。
CMやテレビ番組も、「○○がガンに効く!」「××で健康に!」という作りの物が多いですが、よ〜く考えて下さい。テレビはそういう商品を販売している会社の提供で作られていることが多く、何か物を売りたいという意識が働いていることがあります。傾向的にも、何かを買ったり使ったりする”足し算”の健康法がよく紹介され、生活習慣を見直して、アレを止める・コレを止めるといった”引き算”の健康法はあまり積極的に紹介されていないように思います。
生活習慣を正すというのは、地味ですし大変な努力も必要になりますので倦厭されがちですが、とても大切なことです。
先生の個性によって話し方がカンに障るという場合もありますので、あまり良い気持ちがされなかったのかも知れませんが、考え方としては良い先生なんじゃないかと思いますよ。
Q11、一番悪い時を10として、4くらいからあまり状態が変わりません。治療にも停滞期や治療の限界があるんでしょうか?
現実問題としてはあると思います。
色々複雑な問題が絡むので一概には言えませんが、例えば職業病に近い物(美容師の肩こりや板前さんの腰痛など)は、お仕事そのものが悪化の原因になっているわけですから、ある程度まで回復したら、治療効果と毎日の疲労が拮抗して停滞してくる場合があります。この場合、どこかで一時的な長期休暇などをとって現在の状況を打破する機会を作れれば身体自信の回復力が増して停滞期を打破できる可能性があります。
ただ、中には惰性で治療をしている治療院もあるようですので、適切な対応を怠っている結果として治療の停滞を向かえていることも有るかも知れません。特に治療による身体の変化を毎回きちんと問診をして追いかけていないところは可能性が高いと思います。
もう一つの可能性としては、患者さんの生活習慣の中に改善すべき大きな課題が残っている場合も、原因の改善につながらず治療が停滞する場合があります。
ある程度の限界はあると思いますが、適切な治療を行いつつ、生活習慣を正してゆけば、悪いときから考えて2〜1程度まで状態を改善できるものだと思います。
まず取りかかりやすいところで、ご自分の生活習慣から見直してみてはいかがでしょうか?
Q12、鍼治療を受けたら鍼を刺した所に急にしこりができ違和感が残りました。こんな症状って出ますか?
出ることがあります。内出血が大半ですが、気の観点からは鍼の刺激によって熱が溜まったとか、気が固まったと見ることもあります。
内出血の場合が多いので、早ければ一晩から数日、長くても1〜2週間程度で違和感はなくなると思いますが、一度治療を受けられた鍼灸院さんに相談してみると良いです。
Q13、鍼をやめるタイミングを教えて下さい。
健康管理の為に続けて下さい・・・と言いたいのが本音ですが、最初の目安としては気になる症状が無くなった時かと思います。
鍼灸院へ通われるには、例えば腰が痛いとか生理痛が酷いとか、何かお悩みがあったと思いますが、それが問題ない程度に回復したらやめられる方が多いですね。
本当は、症状が消えても、それを起こした原因はまだ残っていたりするので、もう少し治療を続けたいという場面が多いのですが、やはり目に見える症状が消えるとなかなか通院してもらえません。
あとは、治療を受ける期間を徐々に広げて行くのも良いと思います。
週1回のペースで通院されておられたなら、それを2週間に1度、1ヶ月に1度と伸ばして行って、それでも体調が悪くならなければそこで終了という方法です。
ですが、ある程度元気になってからも、3ヶ月に1度くらいは通っておかれると健康管理としては良いと思いますよ。
Q14、鍼灸治療で医療過誤が起こった場合、「責任」や「治療費」の事など、どこに相談すればいいのでしょうか?
まず最初に相談しなければならないのは”医療過誤を起こした鍼灸院(鍼灸師)”だと思います。
最近は、各鍼灸師会が医療過誤が起こった場合に備えて各鍼灸院へ賠償責任保険への加入を薦めていますので、過誤を起こした鍼灸院さんへ相談されれば、そこから所属の鍼灸師会や保険会社へ連絡が行き、掛かった治療費などを支払ってもらえると思います。
この時に、スムーズにお話が出来るように、過誤があった直後に、治療受けた時に鍼を刺された場所やどんな治療を受けたのかを大まかに思い出してメモしておくと良いと思います。
過誤に合われるというのはとてもショックな事だと思いますが、過誤を起こした鍼灸院も悪意でそれを行うことはないのですから、冷静に話し合いを求めれば真摯な態度で対応されると思います。
もしも過誤を起こした鍼灸院にいい加減な対応をされた場合は、(公社)日本鍼灸師会のリスクマネージメント委員会へ相談されてみると良いと思います。
Q15、鍼を刺す痛みはどんな痛みですか?
基本的に”ほとんど無痛”です。特に皮膚を切る瞬間の痛みはほとんど感じないと思います。
ただ、筋肉の中へ鍼を進めて行くと、ズーンと重いような感覚を感じることがあります。これを鍼の”響き”と言いますが、これを痛みと認識して痛いとおっしゃる方もいらっしゃいます。
感覚としては、コリの強い場所を強く指圧されたときのような、痛気持ち良いような感覚です。基本的に気持ちが良いと表現される方が多いですよ。
あとは、時たまありますが、神経に電気が走るようなビリビリっとした感覚を感じることがあります。これは、主に神経の側を刺したときに感じる感覚で、大体刺している時にそういう感覚を受けるだろうということが分かっていて刺すことが多いので、一言「ビリッっと感じるかもしれませんよ」と声を掛ける先生もいます。
Q16、「治らなくてもいいや」って思いながら通うのは駄目ですか?
ダメです。
鍼灸の治療では気持ちや意識はとても大切です。治らなくてもいいと思いながら通院するのは時間とお金の浪費です。
始めから”ダメモト”のつもりで通院するなら、ウソでも「これで治る、良くなる」と思いながら通院されることをお薦めします。